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オーストリア腫瘍学会会誌2004

巻頭言

Prof. Wolfgang Koestler M.D., hons.D.
(ヴォルフガング・ケストラー 教授)

President of the Austrian Society of Oncology
(オーストリア腫瘍学会会長)

2000年にサンフランシスコで行なわれたオーストリア腫瘍学会では腫瘍学の新たな潮流が示された。ガン細胞における成長因子が初めて特異的に抑制されうる事が示されたのである。

全ゲノム配列が解析されたヒトゲノム情報と分子生物学的な診断手法を用いる事により、腫瘍の遺伝子的特徴を決定しその腫瘍細胞の性質に合わせてデザインした治療を行なう事も可能となり,これによって最も効果的な治療薬の選択が可能になると考えられる。

血管新生抑制剤、マトリックス分解抑制剤、酵素阻害剤、シグナル伝達抑制剤、及び抗体が目下のところ現代の腫瘍学での主要薬剤である。細胞増殖抑制剤、免疫調整剤、ホルモン療法は個々の症例でその効果を使用前に試す事が可能である。現代の造影技術によって体内の解析が向上し、機能試験と造影技術を組み合わせたPETのような技術は、悪性腫瘍で見られる代謝が体のどの部分に存在しているか、といった情報をもたらす。

しかし、悪性腫瘍が遺伝学的な疾患であると言われている今日でさえ、どのように環境やその他の因子が本来正常な細胞を突然に発ガン性に変えるか、あるいはその抑制性を失わせるか、といった疑問は残されたままである。

これら発ガン遺伝子の変異の原因は酸化還元状態の恒常性の失調によるものであると考えられ、これはHeinrichの開発した血清酸化還元刺激分析を用いて簡単に検出する事が出来る。

患者の酸化還元状態の分析を通じて、ビタミン、微量元素、ミネラル、抗酸化剤の必要性などの情報を得、酸化還元状態の正常化によって回復を補助するのである。腫瘍を除去する事が腫瘍学の主たる部分であるが、治療は出来るだけ患者への負担が少なく、通常の生活機能を保持するようなものであるべきである。

この点で、PekarのECT(electro-chemical therapy)は多大な貢献をもたらすであろう。2004年の年頭に逝去した、医師であり研究者でもあったPekarの思い出とともに、その死に対して本刊(Curriculum Oncologicum)をささげたい。

BacowskyはPekarの電解治療が用いられた舌癌の症例研究について報告している。本刊Onkologikusはストレスとリラクゼーション及びヒトの健康に対するそれらの影響についても考察している。腸管はヒトにおいて最も重要な免疫臓器の1つである事が証明されてきた。Stossier氏が彼の寄稿で示しているように、腫瘍治療においても腸管の健康を保つ事は非常に重要である。

近代の腫瘍学における分子生物学に基づいた診断、治療方法は魅力的でバランスがとれた見方ではあるが,高額であり、個々の症例において再発や転移の危険性を残さずに治療を終了できる時期を見極めるのは難しい。

以上のような理由から、ガン治療においては,新たな発ガン変異を生じるような状態を避ける為に腫瘍基本治療(Curriculum Oncologicum前号参照)のプロトコールと分子生物学的治療とを併用するのが妥当であろう。

W. Koestler

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