他の研究では、これら遺伝的多型の多くが血栓症(Witt他、1998)、骨粗鬆症(Morrison他、1994)、歯周炎(Korman K.S.およびdi Giovinet F.、1998)および糖尿病(Pociot、F. 他、1993)のような様々な疾患に関連していることが示されました。これらの多型は薬理遺伝学の分野で非常に重要です(Facklam他、2000)。遺伝的多型は、ガンの進行および危険性に関して何年も議論されています。(Ambrosone他、1996、Minschinin他、1993、Lang 他、1994、Katoh T.、他、1999)。
しかしながら、結腸ガンの研究では、アセチル化について逆の結果が得られています。NAT2正常者は、結腸ガンを発症するより高い危険性があります。この危険性は1CYP 1A2であるならさらに増加します(Minchin他、1993)。 CYP1A2およびNAT2の遺伝学的に欠失のない酵素が焦げ肉の消費に関わるとき、結腸ガンのリスクは、さらに95%まで増加します(Minchin他、 1993)。
この増大するリスクの原因となるメカニズムは、遺伝学的に欠失のないCYP1A2およびNAT2酵素との競合反応の誘導によるものです。この過程は、焦げ肉の中に存在するアリルアミン類の活性化および解毒化から生じます。競合反応の最終生成物は発ガン性のDNA付加物です。それは身体で排泄できず、腸管の細胞に残留します(テーブル2)。
通常、焦げ肉におけるアリルアミン類は、身体によって排出されるN-アセチルアリルアミン類に変換されます。
NAT2触媒によるこの過程(N-アセチル化)では、アセチル基は窒素原子に結合します(テーブル2)。
しかしながら、正しく機能しているCYP 1A2は、NAT2の競合反応におけるアリルアミンの窒素原子にヒドロキシル化反応を引き起こし、その結果N-ヒドロオキシアリルアミンとなります。
第2段階では、NAT2触媒でヒドロキシル基をいわゆるO-アセチル化し、N-ヒドロオキシアリルアミンがアセトキシアリルアミンに変換されます。それは、腸管の細胞中でDNA付加物を形成、変異を誘引する産物です。アセチル化を促進する酵素であるCYP1A2およびNAT2の存在は、特に焦げ肉消費との組み合わせで、結腸ガンのリスクを増大させます。
したがって、CYP1A2およびNAT2両方の遺伝子調査が、2つの酵素のアセチル化/代謝過程の解明に非常に推奨されています(テーブル3)。これらの試験の結果は、競合反応によるCYP1A2の活性抑制の為のテーラーメイド食事計画、特定の薬の投与および栄養素の摂取のような予防措置を決める際の基準となります(テーブル4)。
その上遺伝子調査は、腸ポリープに対する規則的習慣的予防検査の必要性の判断に役立ち、治療後の再発を最小にするための追跡調査において明確な役割を果たします。
酵素 | 物質 | CYP 1A2の活性を 抑制する抑制剤 | CYP 1A2の 増加活性誘導因子 |
---|---|---|---|
CYP 1A2 | 1. アセトアミノフェン | 1. a-ナフォフラボン | 1. 焦げ肉 2.アブラナ科の野菜,例. キャベツ, ブロッコリー,カリフラワー 3. オメプラゾール 4. タバコの煙 |
2. アセトアニリド | 2. アミオダロン | ||
3. アミオダロン | 3. シメチジン | ||
4. アミトリプチリン | 4. シプロフロキサシン | ||
5. 芳香族アミン | 5. エノクサヒン | ||
6. アリルハイドロカーボン | 6. フルオロキノロン | ||
7. ベンゾピレン | 7. フルボキサミン (0.2 uM) | ||
8. クロロトリアニセンv | 8. フラフィリン | ||
9. クロルゾキサゾン | 9. インターフェロン? | ||
10. クロミプラミン | 10. メトキサレン | ||
11. クロザピン | 11. ノルフロキサシン | ||
12. カフェイン | 12. ピベリジン酸 | ||
13. ダントロレン | 13. チクロピジン | ||
14. ジエチルスチルベン | 14. ベラパミル | ||
15. エストラジオール | |||
16. エトキシレゾルフィン | |||
17. フルタミド | |||
18. ハロペリドール | |||
19. イミプラミン | |||
20. リドカイン | |||
21. メトキシレゾルフィン | |||
22. メキシレチン | |||
23. パラセタモール | |||
24. パラキサンチン | |||
25. フェナセチン | |||
26. プロパフェノン | |||
27. プロカルバジン | |||
28. プロプラノール | |||
29. プロスタグランジン | |||
30. タクリン | |||
31. タモキシフェン | |||
32. テオブロミン | |||
33. テオフェリン | |||
34. トルトラズリル | |||
35. ベラパミル | |||
36. ワルファリン | |||
37. ゾキサゾラミン | |||
38. 環状炭化水素 |