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補完代替・統合医療フォーラム2006

日本のガン統合医療の現状と未来について

健康増進クリニック院長 水上治医師

東京衛生病院健康増進部長
米国公衆衛生学博士、医学博士
健康増進クリニック院長
水上 治(みずかみ おさむ)

はじめに

私は30数年にわたり主にガンの統合医療を志し、サプリメントを用いた非西洋医学を実践してまいりました。本日は、ガン医療の厳しい現状、さらに西洋医学や非西洋医学に対する疑問、問題点などを挙げ、その上で今度どのようにすべきか私見を述べたいと思います。

1. ガンは治っているのか?

初期ガンは随分治せるようになってきましたが、進行ガン患者の生存率はこの100年ほとんど変化していません。医学は進歩しても進行ガンを治せないという現状です。しかも、これまでの日本のガン治療においては、QOLがほとんど配慮されてきませんでした。多くの医師は「助けてやるから苦しいのは我慢しろ」という横柄な態度をとってきました。進行ガンを治せない医学に医師たちは満足して良いのでしょうか?結局、「西洋医学」あるいは「非西洋医学」という枠を決めてしまう考え方では、実際に患者を癒すことはできません。将来医学が進歩すれば治せるようになるという甘い幻想を持つのではなく、病んでいる人たちのために今何が出来るかが大切であり、そういったパラダイムシフトが今こそ必要だと思います。

2. ヨーロッパの伝統医療

私はヨーロッパにおける医療に対する考え方に非常に惹かれます。ヨーロッパはもちろん西洋医学発祥の地ですが、同時に伝統医学も尊重されてきました。例えば、ドイツには戦後E委員会が厚生労働省の管理下で発足し、そこでハーブの効用や副作用が専門家によって検討され、使用の可否が決定されています。ドイツの医学部の授業ではハーブの勉強が必須であり、国家試験でも出題されます。卒業後の医師免許更新の際にもハーブ、薬草の勉強をしなければなりません。日本では漢方が一部授業に取り入れられるようになっていますが、必須ではなく、国家試験にも出題されないため、学生達は真剣に学ぼうとはしません。ベルリンの自由大学には数年前にすでに代替療法科、自然療法科の講座が設けられ、医療に取り入れられています。一方、日本には現在でもそのような講座はほとんどありません。

ヨーロッパでは統合医療のニーズがどんどん増しており、医療者側もそれに応え勉強せざるを得ません。また、アメリカやヨーロッパの有識者たちは、西洋医学の合理主義に対し、「何でも理屈で割り切れるのだろうか?」「人間という生命体を理屈だけで理解できるのだろうか?」という疑念を持ち始めています。このような流れの中で、禅や仏教といった東洋思想、また非西洋医学にも大きな関心が向けられています。

3. 日本の非西洋医療

日本の非西洋医療の歴史を考えてみると、江戸時代までは漢方医学が中心でした。この漢方医学の基本的な考え方はQOLの重視です。ところが、明治になって西洋医学が導入され、漢方医学は迫害されてしまいました。日本人は西洋医学に過大な期待を持ちすぎてしまったのです。そして、戦後、アメリカ医学が導入されて以来、「アメリカ医学でなければ医学ではない」という風潮が日本に蔓延してしまいました。これは悲劇だと思います。

西洋医学に対する疑問とその問題点

1. 西洋医学は常に正しいのか?

西洋医学はいつも真理を提示しているのでしょうか。西洋医学が絶対真理を持っているのであれば、進行ガンを簡単に治すことが出来るはずです。つまり、ガン治療に関して言えば、絶対真理などないのです。また、西洋医学には限界があります。一般的に、日本人は医師の言うとおりにガンの3大療法(外科手術、化学療法、放射線療法)を受けます。その結果、「もう効く薬はないからホスピスに行きなさい」と突然言われるケースがいまだに非常に多いのです。

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