健康寿命と美に関する研究活動で培ったQOL(生活品質)の向上に役立つ情報をお届けします。

補完代替・統合医療フォーラム2006

キノコ抽出脂質と海洋性脂質による抗ガン作用の臨床報告

ニュージーランド・ホークスベイ・ウェルネスセンター所長 Dr.Kamal Karl

ニュージーランド・ホークスベイ・ウェルネスセンター所長
Kamal Karl(カマール・カール)

はじめに

2005年にシドニー大学で行われた研究で興味深いものがあります。初期乳ガン患者に「一日だけ寿命を延ばすことのできる細胞毒性のある化学療法があったとしたら、その治療を受けたいですか?」という質問をしたところ、驚くべきことに、半数の女性が「たった一日の延命効果でも治療を受けたい。」と答えたというのです。その理由を聞くと、「もしかしたらその最後の一日が生涯最高の日になるかもしれない。」「ガンの治療法がみつかって、生き延びることができるかもしれない。」と答える人や「少なくとも死ぬ前に、自分は出来る限りのことをやったと思いたい。」と言う女性もいらっしゃいました。このような強い気持ちは、末期疾患において、ときに治療の助けとなるのです。この女性たちは、何らかの治療法があると信じています。だからこそ、私たちはこのフォーラムに参加し、細胞毒性を持つ化学療法に頼らずにQOLを改善する方法を探しているのです。私はニュージーランドで統合医療を行っており、ガンをはじめ非常に多くの疾患を目の当たりにしてきました。本日は、私が提供する統合医療を受けられた患者のうち、3症例をご紹介します。

現在のガン治療

1. 緩和治療と緩和ケア

ガン治療は基本的に、治癒を目的とする緩和治療と緩和ケアに分けられます。緩和治療と緩和ケアは似ていますが、ここでは分けて考えます。

1) 緩和治療
現代の通常医療ではガンと診断された症例の56%が治癒しています。そのうち40%は外科手術、14%は放射線療法によるものであり、化学療法で治癒したものは2%のみです。再発性疾患の治療やアジュバント療法(術後補助療法)などで用いられる緩和的化学療法は、患者のQOL改善に大きく関与するため、私たち医師が真剣に取り組んでいる分野の一つです。

2005年、シドニー大学のMorganらは、白血病や小児ガンを除いた成人の主なガン(腸ガン、肺ガン、乳ガン、前立腺ガンなど)に対し化学療法を行った結果、オーストラリアでは5年生存率が2.3%、アメリカでは2.1%改善しただけであることを報告しました。この数字に私は目を見張りました。「本当にこれが患者にとって一番良い方法なのか?」「どうしてこのような治療を行う必要があるのか?」という疑問が湧いてきたのです。医療者は、常にこのような問いを自分自身に提起していかなければなりません。

緩和ケア
緩和ケアは、多くの場合、疾患の最終段階において行われます。疼痛の管理を行い、患者が安らかな死を迎えられるよう、そして、その家族を不安から開放されるように取り組んでいきます。残念ながら、現在の医療では疼痛の緩和以外のケアはほとんどできておらず、心の安らぎを提供するには程遠い状態です。これが、現代医療に欠乏している点であり、この分野でも私たちが貢献できることはたくさんあると思います。

2. 変わりゆく状況

近年、人々の補完療法に対する要求が確実に高まっているのを感じます。医師から受ける型どおりの処方に患者は満足せず、他の選択肢を求めるようになってきました。また、最新の研究では遺伝子や細胞レベルでの炎症過程の解析が進み、新たなエビデンスも得られています。それに伴い、伝統的な補完療法についても、調査・評価が行われています。法律も変わってきています。オーストラリアでは昨年、患者が補完治療を選択できるようにするための法案が通りました。これにより医師は患者に補完治療に関する情報を提供することが義務付けられました。将来的に、医師が補完治療の情報を患者に提供しなかった場合、患者が医師を訴えるという事態も生じることでしょう。

3. 血管新生抑制という観点

Harvard Medical School ResearchersのMichael RetskyとMichael Baumは、原発ガンの外科手術や細針生検に関し、「腫瘍細胞は独自の血管新生抑制因子を持っているため、腫瘍細胞を取り除くということは、本来体に備わっている血管新生を抑制するスイッチを切るようなものである。」「手術や生検による傷害は血管新生のスイッチであり、初期遠隔転移の引き金となる。」という理論を唱えています。実際、若い乳ガン患者がガンの切除手術を受け、その後遠隔転移が起こるというケースをしばしば目にします。つまり、彼らが言う「血管新生のスイッチ」をオンにしてしまったということなのでしょう。「血管新生の抑制」は本フォーラムの話題の一つです。日本ではスーパーマコ、ウルトラマコといった血管新生抑制作用を持つ製品の研究が行われています。これからご紹介する症例の補完治療において、これらは非常に優れた効果を発揮しています。

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