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補完代替・統合医療フォーラム2005

サメ抽出脂質による血管新生抑制および乾癬治療について

スティーブ・グレッキン博士

グレッキン皮膚研究所所長
ミシガン皮膚科学学会メディカルディレクター
スティーブ・グレッキン

[講演の様子]
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はじめに

本フォーラムでは臨床医や科学者の方々がご講演されていますが、私は皮膚科医であり臨床研究を専門としております。本日は、「皮膚科領域で私が行っている治療方法の一例が、ガン治療に応用される可能性を秘めている」というお話をさせて頂きたいとと思います。

乾癬とは

本日お話する「乾癬」は、1841年にフェルディナンド・フォン・へブラによって報告された炎症性皮膚疾患で、当時から今日に至るまで、私達はいまだ「乾癬」と戦い続けています。世界全体では人口の2%、アメリカでは5%の方が乾癬を患っていると推測されており、この数字は世界レベルで非常に重要視されています。何故ならば、この皮膚疾患をコントロールするのに莫大な費用がかかるからです。乾癬患者さんの75%が40歳以前に疾患を発症し、その後一生乾癬とつきあっていかなければなりません。さらに、乾癬発症後の患者さんの生活の質や、将来展望は著しく低下します。日本国内に関するデータは持ち合わせておりませんが、アメリカでは入院費に3,050万ドル、外来診察費に8,660万ドル、紫外線療法に2,740万ドル、そして驚くべき事に処方薬に1億4,790万ドル、OTC薬には3億5,720万ドルという莫大なお金が乾癬治療に費やされているのです。

1. 乾癬の臨床上の特長

乾癬の代表的な臨床上の特徴として、乾癬患者さんには鱗屑が見られます。正常な皮膚と乾癬の皮膚の境には、細かい銀白色の鱗屑によるくっきりとした境界線が観察されます。このくっきりとした境界線を持つ紅斑性のプラーク、これが乾癬の特徴であり、銀色から白色の鱗屑が体中いたるところに広がります。これらは明らかに乾癬が炎症性疾患であることを示しています。乾癬には様々なタイプがあります。膝の乾癬プラークの場合、軽症であれば通常は痛みもないのですが、膝頭を覆うほどの大きさになると、関節を動かすことすら難しくなってしまいます。「滴状乾癬」と呼ばれるタイプの乾癬は、「滴状」という名前の通り「涙のような形」もしくは「雨滴のような形」をした病変部が観察されます。「膿疱性乾癬」と呼ばれる症例では小さい膿疱が見られますが、「膿疱」と言っても実際に膿を持つわけではなく、無菌状態の体液が中に含まれています。いずれにしても、炎症反応を伴っております。また、爪にも乾癬が発症しますが、その際には爪表面に点状陥没などが観察されます。頭皮も乾癬により影響を受け、脱毛などが観察されます。

2. 乾癬の組織病理上の特徴

乾癬の皮膚の組織病理は、正常な皮膚と全く異なります。乾癬では顕微鏡下で、非常に厚く肥厚した表皮や延長した乳頭間隆起が観察されます。組織病理上で最も重要な点は、乾癬にかかった皮膚では、表皮の血管のサイズ、および数の増大が見られることです。これが、乾癬という慢性疾患の最たる特徴である「血管新生」です。さらに、各種リンパ球の浸潤や角層下部の無菌性小膿疱も特徴の1つです。

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