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オーストリア腫瘍学会会誌2003

歯周病とホリスティック歯科

Dr. Manfred Klein歯科医

人間の健康に関するここ数十年間の調査および研究において、伝統医学の支持者は医学のほとんどあらゆる分野で飛躍的な進歩を遂げました。医学全体を専門分野に分けることは、より正確な診断と治療法をもたらしています。しかし、専門医の治療および発展した技術の結果、患者を人間全体として捉えるという認識は失われつつあります。症状の原因の究明なしに治療されており、そのような傾向は歯科領域にも認められ,特に歯周病に関して、同様の事態が見受けられます。

歯周病は、通常は全身的な疾患です

歯周病の発生率は増加しています。しかし、たいていの歯周病検査および治療は完全に口腔内に制限されています。歯石除去、キュベット、超音波、研磨および医学的助言などの歯周病治療は、有効な治療の基盤となっています。たいていの歯周病は、全身に影響する根本的な病状であるので、この種の疾患は、絶対に口 腔内に限定された治療で対処されるべきではありません。

ホリスティック(全身的)な治療法と従来の生理学的な治療法の組み合わせで、より迅速、簡素かつ安価な方法で歯周病をコントロールできるよう支援し、同時に患者の治療を口腔にとどめず、ホリスティックな治療や緩和も提供すべきです。

歯周病において決定的な役割を果たす要因はいつも同じです。

  • 酸塩基バランスの不均衡(異常なpH)
  • 亜鉛を欠乏させる重金属
  • 炎症とアラキドン酸代謝
  • ミネラルとビタミン
  • ストレスと極度の緊張のような二次的要素

1. 歯周病と酸塩基平衡

ほとんどの歯周病は、酸塩基平衡の乱れから生じます!酸塩基平衡は、唾液、尿および血液の検査でいつでも調べることができます(コストは健康保険会社によって一部還付されます)。唾液の正常なpH値:7.0-7.1 mmol/l (中性からわずかにアルカリ性);血液の正常なpH値:7.37-7.43 mmol/l;7.36未満は過度の酸性と見なされ、7未満では生命を脅かします。全ての歯周病患者において過度の酸性状態であり,間違った食生活がその原因のひとつです。過度に酸を生み出す食品(肉、塩、砂糖、コーヒー)および発酵する食品(サラダ、生の食物)は人体に大きな負担をかけます。特に夜に消費されれば、食物を十分に消化することができず腸で発酵して毒素を放出し、ポテトやニンジンなどの新鮮なアルカリ性食品の不足を生じさせます。同様に、疲労、ストレスお よび運動不足は、胃に悪影響を及ぼし、胃酸過多を引き起こすことがあります。酸塩基平衡は多くの場合、H+イオン勾配があるところ、すなわちpH値を調節しなければならないところ(例えば腎臓細管、胃粘膜、小腸、および唾液腺)で主要な役割を果たす炭酸脱水酵素によって制御されます。反応はカルシウムによって触媒されます。

H2O + CO2 " H+ + HCO3-
HCO3-は、体内でH+と結合し、胃の細胞中でpH値を2~7.0まで上げます。過剰なHCO3-は、胃のループ状毛細血管によってほかの臓器に送られます。他方で、ループ状毛細血管を通る血流は、PGE2によって制御されます。後にPGE2についてもう少し詳しく述べます。炭酸脱水酵素が適切に機能しない場合、HCO3-は生産されず,もし生産されたとしても少量で,その結果臓器の過剰酸性の原因になります。体全体が過剰酸性である場合、口腔不衛生との組み合わさることで、患者の口腔内のpH値は低くなり過ぎてしまいます。この酸性環境では、細菌および嫌気性生物が正常な環境よりもはるかに速く成長、増殖するでしょう。この見方はアルカリ性のパウダーによる簡単な治療が、しばしば著しい結果をもたらすことからも,決して見落とされるべきではあ りません(もちろん、疾病がかなり進行した患者には当てはまりません)。さらに、決して忘れてはいけない事は,カルシウムイオンは亜鉛に依存して作用する事です。そのため亜鉛がなければHCO3-の生成は抑制され、酸塩基平衡は危険にさらされます。

2. 亜鉛を奪う重金属

炭酸脱水酵素に関して、従来の医学では、アマルガムとそれらの重金属が「亜鉛を奪う」と考えられることは非常に重要です。そしてそれは、重金属汚染患者の多くが、過剰酸性である理由です。歯周病では、多くの場合、アマルガム充填数と疾病の重篤さの間に明瞭な関連があります!この前後関係の中に歯科医が決して見落とすべきでない非常に重要なポイントがあります:いかなる状況であっても、慎重な考えなしに、アマルガムを取り除いたり、取り替えたりするべきではありません。アマルガムに穴が空けられた瞬間、重金属で既に汚染されている患者は、金属の中で最も危険な状態である重金属蒸気にさらされ、脆くなっている結合部位はしばしば更なる暴露に耐えられません。したがって、どんな障壁も容易に通り抜けるHgが、血液/脳に浸透し、患者に重大な被害を与えると予想されます。重金属中毒が疑われるなら、患者に問診することをお勧めします。典型的な徴候は、記憶喪失、注意不足、疲労、鬱および関節痛と「部屋から部屋」症候群とでも呼ぶべき症状です。この症候群の主な症状は,患者が何かをするために部屋に入った瞬間に目的を忘れてしまい,目的を思い出すために前の部屋に戻らなければならないような症状です。多くの医師自身が、日々のHg蒸気への暴露による重金属中毒の可能性とは気付かずに、上記のような症状に悩まされているに違いありません(歯科医の鬱および自殺率は高いです)。重金属の被爆に関して言えば,常に対症療法を用いる歯科医は、重金属汚染を検知する科学的に認識された唯一の方法であるDMPSテストを受けるべきです。しかし、ホリスティック療法を用いる歯科医は,まさに有効な自分の基準によってテストを利用すべきです!

3. 歯周病と炎症

この疾患でもまた、症状は全身的なものです。炎症の多くは、非常に単純で効率的に取り扱うことができるので、以下の章は歯科医にとって非常に重要です!一方、この場合もやはり、すべて生理学的な事実に基づきます。ファースト・フード(肉およびソーセージ)中の短鎖脂肪酸は、酵素ホスホリパーゼA1によって触媒されたアラキドン酸の合成の原因となります。シクロオキシゲナーゼによって触媒されたアラキドン酸はPGE2に変換されます。(PGE2は前炎症性および免疫抑制性の伝達物質です)。

一方、リポキシゲナーゼはロイコトリエン生成を触媒します。(また、ロイコトリエンは、PGE2とシクロオキシゲナーゼの合成を促進する前炎症性伝達物質として機能します)。また、PGE2は多形マクロファージ球によって排出されます。それは、最も強い溶骨性物質であり、14日間は付着物の溶失を優先させます。PGE2は初期段階でさえ歯周溝液中で検出できるので,予後に大きな役割を果たします。Movalisのようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤は、PGE2の生成を抑制します。しかしながら、既に過剰量で存在しているアラキドン酸は、さらに、リポキシゲナーゼによって大量にロイコトリエンに変換されます。魚油のオメガ-3脂肪酸、アルファリノレン酸、イコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸のような長鎖脂肪酸を摂取することによって、PGE2とロイコトリエン4の著しい減少をもたらし、アラキドン酸の生成は完全に回避することができます。これは、PGE3とロイコトリエン5の増加に結びつきます。ロイコトリエン5には抗炎症作用および免疫活性化作用があります。冷圧搾油中のガンマリノレン酸、オメガ-6脂肪酸は、PGE1の生成を促進します。(PGE1には、強力な抗炎症作用および免疫活性化作用があります)。簡単に言えば:長鎖脂肪酸だけを摂取することで、かなり速く炎症を治すことができます。治療は、亜麻仁油もしくはルリジサ油のカプセルから始めることができます。その次に、理想的には、サラダやパンで使われている大さじ1から2杯の通常の冷圧搾油を摂取し、そして、6-8週間後、炎症の治療過程は改善されます。しかしながら、リットル単位でも安価に買うことができるような高品質なものだけを使用することが重要です。健康食品ショップの製品は,しばしば鮮度や品質が悪く,価格も高過ぎます。

4. 歯周病とミネラルとビタミン

これらの栄養素に関して、歯周病患者の多くは、本当の意味で尽き果てています。
:細胞膜の安定化への寄与、免疫システムのサポート、歯周組織のカルシウム吸収の促進、DNAおよびRNA合成を担う200以上の酵素反応において重要な要素である亜鉛の慢性的な不足。
:治癒過程の短縮、正常なコラーゲン合成の促進、毒素とバクテリアの阻止、リンパ球機能の改善、抗体反応抑制に有効であると立証されたビタミンCの不足。言うまでもなく,ビタミンCはアスコルビン酸という酸であり,体内の酸性度を悪化させるのというのは言い逃れのない事実で,pH調整されたビタミンCを使用した"緩衝アスコルビン酸"を使用する方が推奨されています。ビタミンAとベータカロチンは、コラーゲン合成に関わり、治癒過程を促進します。加えて、ビタミンEと同様にそれらは、重要な酸化防止剤です:毎日、健康な体細胞はラジカルよって引き起こされた10000もの変異を受けています。しかしながら、それは、プロテアーゼ、ホスホリパーゼ、転移酵素およびペルオキシダーゼのような修復メカニズムよって再生することができます。修復できないすべての変化は、「酸化的ストレス」と呼ばれます。これがもし伝染や日焼けなどのように短期間であるなら、増加したカタラーゼおよびペルオキシダーゼが作用します。長期に及ぶ酸化的ストレスは、内因性の構造破壊に結びつきます。フリーラジカルは生体触媒があるとき作られます。これは生物学的代謝の原理です。これらのフリーラジカルは、他の反応相手を活性化する生体触媒(酵素)があるとき作られます。そして、生体触媒なしでは生体反応は全く機能しません。しかしながら細胞系におけるラジカルもまた、細胞核での遺伝物質生産、タンパク質および糖の代謝に関連して作られます。これらの活性化された代謝分子は、非常に反応性が高く,ビタミンとアミノ酸が私たちの身体を保護しなければ、栄養素を酸化するだけでなく,生体成分をも酸化し障害を引き起こすでしょう。もし,この厳密な生物学的バランスが崩れれば、内因性物質の炎症反応,内因性物質の減少という結果で、最悪の場合、癌の発生に繋がるでしょう。タンパク質と糖の摂取を控える事だけでなく,抗酸化能を高める事は重要です(肉、甘い物およびタバコは、フリーラジカルを放出します)。患者が健康でバランスの取れた食事の重要性を絶えず念頭に置くことは欠かせません。これらは、歯科診療を広めるための明確なガイドラインにとして通知されるべきです。

5.歯周病、ストレスおよび並外れた緊張

ストレス、並外れた肉体的緊張、さらには死別ならなおさら大きな心理的なストレスを与えることは全ての歯科医にとって明白でしょう。

歯科医が心の余裕なく仕事を続けるほど、患者に影響します。したがっていつも物事は全体的に考慮されるべきです。精神的なストレスは弱められた胃経を通して働きます:患者は気楽にやるように、自分により多くの時間をあて、自身をケアするように直ちに助言されるべきです。他の人ではなく、患者自身が重要であることが明確にされなければなりません!単純なホメオパシー治療および正常生体分子の薬剤でサポートできる患者のそのような"再適応"は、成功する治療過程の必要条件です。患者の障害を取り除く手助けをしないのなら、患者はどんな治療にも応じません。現在、新しい情報の利用は、重要なこととなっています。ホリスティックな方法と合わせた対症療法および生理学の知識は、今後ますます役立つでしょう。長鎖脂肪酸,アルカリパウダー,緩衝ビタミンC,亜鉛,抗酸化剤などと投与するような食事計画について全歯科医に議論される事は可能に違いないでしょう。タイムおよび亜麻仁の抽出油でうがいをすることは副作用のない単純で即効性のある治療法です。患者自身が治癒に積極的に参加することが重要です。どちらの方法も断固とした拒絶をされるべきではありません。両方の組み合わせのみ、すなわちホリスティックな提案が、患者のために真の治療をもたらすことができます。とはいうものの、オーストリアの歯科医は施術者であるという側面が、あまりにも多くの同僚によって見落とされてきました!

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