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オーストリア腫瘍学会会誌2003

赤外線温熱キャビンでの赤外線C療法による解毒と免疫の活性化

-血清レドックス複合解析による研究結果-

Prof. Dr. med. Wolfgang Schmidt

概要

赤外線温熱キャビンでの赤外線C治療の増加によって、学術論文においても、さまざまな波長の赤外線治療の患者への忍容性と治療効果について幅広く議論されるようになりました(1-4)。

利用者からは、概して「有効」との報告が寄せられています。:優れた健康状態、風邪への耐性とその予防、身体的回復、精神的なリラクゼーション、ストレスの軽減、スキンケア、見た目の改善などが挙げられます(5)。

赤外線からの放射線エネルギーは、サウナのように室温を先に上昇させる必要がなく、利用者の体内で熱に変換されます。したがって、キャビン内の温度は比較的低く、利用者の体循環への負担が軽いことが温熱キャビンの利点です。サウナより温熱キャビンの方が少ない負担で済むのは、体循環に限ったことではありません。温度が低いと、酸素分圧の変化が少なくて済むのです。:サウナでの酸素分圧の低下は、身体への酸素供給を減少させます。この酸素分圧の低下は、室温が60から80℃に上昇した時に起こります。つまり、サウナの温度が上げられ空気が膨張した時に起こります(6)。

皮膚の構造や赤外線の物理的性質は、さまざまな波長の赤外線の忍容性と効果を理解するための根拠となります(3, 7, 8, 9, 10, 11)。

治療効果のある波長は主に赤外線Aの範囲にあり、特定の赤外線スペクトルのみが酵素活性機序を誘導するという報告に刺激され、私達は赤外線Cの生物学的効果について質的、量的研究を行うことにしたのです。

材料と方法

「血清レドックス複合解析」を用い、50人の臨床的に健康なボランティアにおける、AktiVit Weka Holzbau Neubrandenburg社の赤外線温熱キャビンでの発汗による生物学的効果を調査しました(12)(Table1)。

2日間隔で3回赤外線処置を実施する際、ボランティアはキャビンで毎回20分過ごし、50℃で汗をかいてもらいました。血液サンプル(20ml)を、初回処置前、初回後、第2回後、第3回後、第3回処置から一週間後に採取しました。

Table 1. 血清レドックス複合解析

はじめに、サンプルを通常の冷蔵庫に入れ、約1時間4~7℃で冷却しました。その後、血清を分離するため遠心力約800~1000xgで約10分間遠心分離しました。試験には各サンプル8mlの全血清を必要としました。

サンプルを解凍後、500mlのサンプルを用い酸化還元電位の変化を測定するための各処置、操作を行いました(12, 13)。

血清レドックス複合解析に基づき、以下の定められたパラメーターについて結果を記録しました(12)。

  • ラジカルストレスの対処能力は抗酸化的解毒作用の強度、効果に基づくものでした。このパラメーターから、生体の生物物理学的、生物化学的ストレス対処能力や健康状態の復元力に関する情報が得られます。
  • グアノシン三リン酸、アデノシン三リン酸、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドなどの生物学的な情報伝達物質と血清を培養する事によって、アロステリック制御効果を生体外でシミュレーションしました。これより、タンパク質の構造の調節特性、細胞分裂と細胞形成活性、炎症性変性の過程、異形成と新生組織形成に関する情報が得られました(14)。
  • 診断データは、酸化還元分析における細胞有糸分裂指数とアポトーシス指数で補強されました。
  • 代謝障害や代謝過程の質的・量的変化を記録し、差異値を算出して比較しました。
  • 代謝における活力や相応する還元能力は、抗酸化剤のレベルと解毒能力を算出し数値化した。赤外線Cの照射は制御されていないラジカル連鎖反応を抑制します。

結果

臨床試験の結果、血液/血清中の不安定な酸化代謝物質の濃度は減少しました(Table 3)。

断続的な短時間の放射線照射の後の分析の結果、血中(血清中)の抗酸化物質の力価を1週間にわたって若干減少させることが明らかとなりました(Table 4)。

細胞の有糸分裂率を示すIndex1やアポトーシス率を示すIndex3は、試験期間の経過に伴い、若干上昇しました(Table 5)。

細胞形成の調節を示すIndex2と細胞の変性を示すIndex4の値は、赤外線温熱キャビンでの3度の処置が終わるまで一旦低下し、最終放射処置後1週間である観察期間終了時まで再度上昇し続けました(Table 6)。赤外線CのGTP(グアノシン三リン酸)に対する効果が、サンプル中のタンパク分子や巨大分子にアロステリックな効果を誘導したことは、注目に値します。他のアロステリックエフェクターの効果は、観察期間中変化は認められませんでした(Table 7)。

Table 6では、大きな変化が認められていますが、プラス値、マイナス値とともにD値の絶対値は、赤外線C治療終了1週間後には完全に試験前の値に戻りました(Table 8)。完全ではない場合でも、同レベルまでもどりました。

Table 3. 治療期間のブランク値の推移(ボランティア n=41)

Table 4. 抗酸化的解毒能力の推移(ボランティアn=41)

Table 3とTable 4
赤外線C照射によるブランク値と解毒能力の推移。上限70℃の赤外線キャビン内での各20分の赤外線照射における、処置前、初回、第2、3回処置後、第3回処置一週間後の健常ボランティア41人の測定値。

Table 5. アポトーシス率と有糸分裂率の推移(ボランティアn=41)

Table 6. 細胞形成と細胞変性の制御プロセス(ボランティアn=41)

Table 5とTable 6
赤外線C照射による、アポトーシス率と有糸分裂率、細胞形成と細胞変性の制御プロセスの推移。上限70℃の赤外線キャビン内での各20分の赤外線照射における、処置前、初回、第2、3回処置後、第3回処置一週間後の健常ボランティア41人の測定値。

Table 7. 細胞活性化、浸透性の変化、代謝調節の比較(ボランティアn=41)

Table 7. 細胞活性化、浸透性の変化、代謝調節の比較(ボランティアn=41)

Table 7
赤外線C照射による細胞活性化、浸透性の変化、代謝調節の比較(ボランティアn=41)。上限70℃の赤外線キャビン内での各20分の赤外線照射における、処置前、初回、第2、3回処置後、第3回処置一週間後の健常ボランティア41人の測定値。

Table 8. 処置期間における代謝能の推移(ボランティアn=41)

Table 8. 処置期間における代謝能の推移(ボランティアn=41)

Table 8
赤外線C照射による代謝能の推移。上限70℃の赤外線キャビン内での各20分の赤外線照射における、処置前、初回、第2、3回処置後、第3回処置一週間後の健常ボランティア41人のD値。

考察

血液/血清中の不安定な酸化代謝物質の濃度が、ラジカル解毒反応の活性化によって減少することは明らかです。特定の酵素(カタラーゼやペルオキシダーゼなど)の誘導や活性化の後、抗酸化活性を持つ物質が血中に分泌されることによって、抗酸化物質の力価や解毒能の一時的な低下を引き起こします。

細胞の変性と形成の速度を示すインデックス1または3の増加は、免疫担当細胞の増殖の活性化や、白血球/リンパ球の活性化を示しています(Table 5)。

Index2と4によって表される細胞形成や変性のコントロールに対する調節能力は、+200から+400の正常範囲内でした。調節能の活性化はこれらの値を負の値まで低下させます。

アロステリックな効果は分子構造の変化によって主にもたらされます。そして、それは生物学的情報伝達因子を介した活性化の後、生体内の機能的な制御タンパク質の活性の調節に関わります。

グアノシン三リン酸もまた、これらの制御過程において重要な役割を果たします。この物質やその誘導体であるサイクリックモノフォスフェートは、細胞機能の活性化制御において重要な役割を果たしています。

Table8で見られる効果は、細胞性免疫機能の活性化を示しています。

健常人では、D-値は100から400の間で、D2やD5の値は下限の100よりも遥かに低い値です。さらに、負、正、負、正、正、負というD1~6一連のD値において、典型的な一連の正負記号が認められます。

主に、負の値の方が多い事は細胞機能の調整能の変化が炎症によって引き起こされることを示しています。

赤外線温熱キャビンでの処置開始時、ボランティアうちの数人に、非常に高いD値とD値スペクトルにおける多数の負の値が認められました (Table 8)。健常人の値からの逸脱は、膿?や上気道における炎症過程や消化器官における炎症過程を示しています。そのようなボランティアに質問したところ、それぞれが症状を自覚していました。

3回の赤外線治療後、D値は健常人の値に達するまで改善しました(n=41)。

胃腸炎の症状を呈する9人のボランティアにおいて、その値は健康な人達の値より低かった。しかし、赤外線C照射は上気道や膿瘻における炎症過程に良好な効果を示しました。

結論

赤外線温熱キャビンでの発汗のメカニズムと効果に関する研究結果から、以下のような結論が導かれます。:
0.5mmという最大浸透度では、赤外線Cの約80%が厚さ0.1~0.2mmの表皮で吸収されました。放射線の20%は真皮上層、乳頭層、最高 0.5mmの深さまで到達しました。熱を感知する自由神経終末や、血液を介し熱を身体内部へ運搬する役割を持つ皮膚の微小循環系である毛細血管の末端は、ともに、乳頭上層にまで分布しています。
浸透度が高いため、赤外線A単独で深部を温める事ができるという考え(1)をサポートする確実な証拠は何も得られませんでした。私達の独自の研究では、赤外線温熱キャビン内で30分過ごすことは、身体の中心温度を37.5℃まで上昇させ、38℃で60分間汗をかくということを証明しました。全身への効果は身体中心温度の上昇に伴って生じることを、私達の研究から証明されました。

赤外線C全身効果連鎖反応

表皮 (表面積 約2m2 )
角質層
真皮/乳頭層 0.5 mm
(熱効果/全身効果:50o C)
以下の因子による血管の緊張 (毛細血管末端) (体温調節!) :
1. EDRF (血管内皮細胞由来弛緩因子) = NOラジカル
2. CompoundⅠ(c-GMP)
アラキドン酸カスケード(シクロオキシゲナーゼとリポキシゲナーゼ)の活性化を介する毛細管透過性の変化 (体温調節:発汗、水分、ミネラル、タンパク質など)= プロスタグランジンE1、E2、さらに、ロイコトリエンB4、C4、D4また O2S-など。
抗酸化物質分泌活性化、抗酸化酵素(スーパーオキシドジムスターゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ)の誘導とcAMP/cGMP活性化
Ca2+量刺激
MF活性化
インターロイキン1、2、3活性化:細胞性免疫活性化

要約

この研究結果は、健常人において赤外線Cには解毒効果や免疫活性化効果があることを裏付けています。この結果を受け、がん治療後の患者に対し比較臨床研究が行われています。

これらの研究結果は、次の論文で発表する予定です。

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